アメリカの動物保護団体でボランティアを学ぶ留学生活(宇田愛臨さんVol.2)

 

犬との写真

 

少年院の再犯率をゼロにさせる動物の力!

 

–では、次に3ヶ月目のフィールドワークについて聞かせていただけますでしょうか?シアトルの後はどちらに?

 

行った場所としては、ポートランド、サンフランシスコ、ロサンゼルスです。後はサンディエゴにも少し行きましたが、これはほぼ観光でした。

 

–ポートランドなどでは具体的に何をされていたのですか?

 

主に視察やインタビューです。ポートランド、サンフランシスコ、ロサンゼルスには、日本でも番組に取り上げられたり書籍になったりした、割と有名な施設が多いんですよ。

具体的には、「犬猫の生体販売を辞めて、里親探しだけに切り替えたペットショップ」や、「捨てられた犬の世話とトレーニングを行う少年院」「アメリカ最大規模の医療施設を持つアニマルシェルター」などを訪問して、見学・インタビューをさせて頂きました。

 

–フィールドワーク中に印象的な事はありましたか?

沢山ありましたけど、一番インパクトがあったのは少年院ですね。少年院の高い塀の中へ独りで入って行くときは妙にドキドキしました。

 

–えっ、少年院??動物がテーマのフィールドワークですよね?

はい、もちろんです(笑)実は、ポートランドのとある少年院では、少年たちが、捨てられた犬のトレーニングと世話、里親探しまでをする取り組みを行っているんです。

 

–あっ、そういう事ですね!もう少し詳しく聞かせていただけますか?

はい、このプログラム自体は「プロジェクトプーチ」と言って、もう20年以上続いているんです。

驚いたのは、20年間も続いているのに、このプログラムを終えた少年たちの再犯率は未だにゼロなんですよ。私が行った時も、このプロジェクトに携わる少年たちが案内してくれたのですが、本当に穏やかで、とても犯罪を犯してきた少年とは思えませんでした。なにより、一人一人が担当する犬へすごく愛情を持って接しているのがわかりました。

 

–再犯率がゼロってすごいですね。何か理由はあるのでしょうか?

職員の方曰く、犯罪に走る少年の多くは家庭に問題があって、十分な愛情を受けて育っていないんだそうです。犬と共に生活する事で、愛情を注ぎ、愛情を受ける事を学んで行くんですね。なんだか、動物の持つパワーのすごさを改めて感じました。

 

–あ〜、なるほど!他に回った所はどのような感じでしたか?

 

他にも、入院や高齢者施設に入る事になった飼い主さんとペットを離ればなれにさせない活動を行っている団体や、一般の方がペットシッターをしてくれるサイトなど、ペットと生活しやすくする仕組みがアメリカには沢山あって、羨ましくなってしまいました。

アメリカにいた日本人の友だちが皆言ってたんです「こっちの犬はみんないいこだよね〜」て。でも調査を進めるうちに、どこに行くにも飼い主さんと一緒で、たっぷり運動をさせてもらって、「あ、こっちの犬はストレスが少ないんだなぁ」って妙に納得してしまいました。

 

 

■アメリカは「犬が人間社会にいながら自然の中で生きているような社会」でした。

帰国後、地元愛媛で行われたセミナーで講師を務める

帰国後、チャレンジウーマンスカラシップの報告会

 

–では、次に愛臨さんの留学後の活動と今後の夢について聞かせてください。留学後はどのような活動をされていましたか?

 

はい、留学後は、フィールドワークの延長戦上で、奨学金をいただいたテンプホールディングスでのプレゼンがあったので、そのための資料を作り、プレゼンを行いました。その後は、地元の動物愛護センターで、今回の留学で学んだ事でセミナーをさせていただきました。

 

–留学後のプレゼンは英語だったのですか?

はい、テンプホールディングスの方は英語でした。

 

 

–英語でプレゼンってすごいですね!でも、そういうのができると自信になりそうな気がします!留学前と留学後で自分が変わったと感じた事はありますか?

 

いえ、英語でのプレゼンは本当に反省点もいっぱいあるので、自信はこれといってつかなかったのですが。。

でもたった3ヶ月の留学でしたが、一生懸命動いて、毎日新しい人と英語でコミュニケーションする事で、海外で暮らして行く自信はついた気がします。あと、自分の目標を人に話していると、自然と協力者が集まるものなんだってことも実感しました。

 

–愛臨さんの今後の夢は何かありますか?

11066シアトルのドッグパーク(湖に面していて、自由に遊べるそうです)

シアトルのドッグパーク(湖に面していて、自由に遊べるそうです)

 

夢というか、私自身、今後も海外に関わりながら、今回の留学で学んだ事を日本に還元できないかと思っています。

アメリカはペットも入れるお店がいっぱいあったり、日本では想像もできないくらい大きなドックパークがあったりと、「犬が人間社会にいながら自然の中で生きているような社会」でした。

また、犬猫との生活を豊かにしてくれるサービスやユニークな仕組みがあって、日本でも同じようにはできなくても、日本にあった方法で今以上にペットとの生活を豊かにすることはできるんじゃないかなと思います。

そしてその事が、ゆくゆくは殺処分を減らして行くことにも繋がると感じるので、そこをこれからも追求して、自分にあった方法で叶えて行きたいなと思っています! 

 

–海外で新しい価値観や学びを得て、次にやりたい事を見つける事ができるのって素敵ですね。愛臨さん、ありがとうございました!これからも応援しているのでがんばってくださいね!

 

 
 
榎本 晋作
28歳の時にワーキングホリデーでイギリスに。ロンドンでは留学エージェントの立ち上げを経験。在英中に立ち上げた自身のブログは日本ブログ村PV(アクセス)ランキング1位。帰国後『イギリス・ワーホリ留学ガイドブック』を電子書籍にて出版し、Amazon海外留学対策ランキング1位を獲得。高3時点での英語の偏差値は32。(今でも苦手です。)