「ガーナでの協力隊の活動が私を原点に戻してくれました。」(Shokolaさん_Vol.2)

コベディ小学校の校庭でのワークショップの様子。

巡回先のコベディの小学校の校庭でのワークショップの様子。人口500人くらいの村で唯一の学校。スポーツの先生と一緒に開催されたそうです。

 

■きっかけ隊員仲間とのワークショップ!石けん作りスタート!

 

–植林活動の後は、石けん作りと環境教育を始めたんですよね。これはどのような活動だったのですか?

世界中で石けんの材料となっているパーム油の原料

石けんの材料となっているパーム油。(村人たちは油の中に手を入れてしまうくらいたくましかったそうです。)

 

はい、その2つはちょうど赴任して1年くらいした時に始まりました。

まず、石けん作りですが、これは村の女性たちが、「現地で取れるパーム油を使って石けんを作る事で収入を得る」という自立支援を目的としたものです。

 

–「収入向上活動では石けん作りをしよう!」と最初から思っていたのですか?

石けんが売られている様子

作った石けんがJICAショップで売られている様子。

 

いえ、石けん作りを収入向上活動として選んだのは、別の村を担当していた同期隊員で一緒住んでいた奈帆美(なおみ)ちゃんと行ったワークショップがきっかけでした。

 

–ワークショップを開催されていたのですね。

石けん作りを行った時の様子。

石けん作りワークショップを行った時の様子。

 

はい、彼女の村の女性メンバーを、私が担当していた村に連れてきて、一緒にワークショップを行ったんですけど、それがすごく好評だったんです。その後に、今度は逆に私の村の女性メンバーを彼女の村に連れて行って石けん作りを行いました。

そして、それで刺激を受けた村の女性たちが、ワークショップに積極的になってきてくれたんです。普段はすごく集まりが悪いん人たちなんですけど、石けん作りのワークショップには集まるようになってくれて。

 

–よほどハマったんですね。

はい、そうなんです、だから「これで(収入向上活動を)やろう!」という事になりました。

 

–実際に収入向上活動のプロジェクトとしてやってみていかがでしたか?

伝統的な石けん「アモンチ」をピュアウォーターの袋を再利用して包装

伝統的な石けん「アモンチ」。ピュアウォーターの袋を再利用して包装し、ガーナのカラフルな布でリボンにされたそうです。

 

石けん作りは、母親が家の庭先でできるので、村民の人たちに相性がよく、すごく評判がよかったです。また、お母さんが収入を得れると子供に薬や教育にお金を使うので、そういう意味でも活動の成果を感じています。

それから、石けん作りを行う事で、さらに村民の人たちと積極的にコミュニケーションが取れるようになり、お互いにさらなるモチベーションアップになったのも隊員の活動をする上で大きかったです。

 

–やはり、村の人たちとの交流をしっかりしていると、彼女らにピッタリのものを見つけられるんですね!

 

 

 

■村が燃えてしまうかもしれない危機を教育で解決!

ヤヘマ中学校で行ったワークショップ中の写真

ヤヘマ中学校で行ったワークショップ中の様子。紙芝居をつくってワークショップを開催されたそうです。

 

 

–そして3つ目の環境教育ですが、これは何をされていたのですか?

はい、環境教育は村の学校で、授業を一コマもらって「環境に関する授業」をしました。

 

–環境に関する授業というと?

 

主に、ワイルドファイヤー対策やリサイクルなど資源の再利用に関する事です。

 

–先ほど、植林活動の所で言ってたワイルドファイヤーですね。もう少し詳しく教えていただけますか。

授業中の様子。(生徒にも分かりやすいように現地語でサポートしてくれた)

授業中の様子(生徒にも分かりやすいように現地語でサポート)。教材はShokolaさんが作られたそうです。

 

ワイルドファイヤーは日本語で言うと野火(のび)の事です。つまり、自然的もしくは人為的に火が発生して、草が燃えてしまい、それによって畑や森までが燃えてしまう現象ですね。

授業を始めたきっかけは、乾季の時期にワイルドファイヤーの問題だったんです。実はこれが原因で村がなくなっちゃう事もあるんですよ。

 

–村がなくなるって、それシャレにならないですね。。。

 

はい、これを解決するためには「子どもの時から意識を持つことは大事かな」だと思い、特に森林と密接に関わりのある巡回先の村の子ども達が通う学校に提案して授業をしました。

ちゃんとした知識があれば「猟銃がきっかけで燃え広がる、畑での火の消し忘れ、焼き畑やタバコの火の不始末」などのような人為的な発火はなんとか防ぐ事ができるので、村の未来のためにと思って行っていました。

 

–任務の他にそういうプログラムを自発的にできるってなんかいいですね。

授業中の様子

ワークショップ後に「身の回りの環境」について絵を描いてもらっている様子。

 

はい、私、本当に村の事が好きだったので!

後、環境教育の他に、日本語を教えたり、JICAのプログラムを利用して子どもたちにサッカーボールなどを届けたりなどで、本当に子どもたちと積極的に交流できて楽しかったです!

 

学校で子どもと演奏中の写真

同期隊員の森田麻由さんと行ったクリスマスコンサートの様子。

 

 

■ガーナでの生活で原点回帰!私はクリエイティブな活動をして行きたい!

アハエデのワークショップ中の写真

帰国後、立ち上げたカルチャーグループのワークショップ中の様子。

 

–活動を振り返って、shokolaさんが途上国支援や開発について感じた事は教えていただけますか。

はい、まず、隊員として当時体験できた様々な活動や交流、感動は一生の宝で、今に強くつながっていますし、私たちのやってきた事にも強い意義を感じています。

でも長い目で見ると、私の村はJICAのプロジェクト、そして私達ボランティアが入って、よくも悪くも様々な余波を残しました。様々な問題で活動をストップしてしまった活動もありました。

「本当に持続的な発展ってなんだろう、それは一体誰のための開発なんだろう?」と、と今でも自問したりします。

 

–やはり、「現場に行ってこそ見えるもの」ってあるのですね。青年海外協力隊を追えられた後はどのような活動を?

帰国後は「ガーナを表現する」をテーマに写真展をしたり、フリーランスの美術コーディネートなどの仕事をしたりしています。それがきっかけとなって、今は大学院に進学して、文化人類学を学びアフリカ美術について研究しています。

最近の話だと、来年からは、ガーナ大学の大学院に1年間、留学できる事が決まりました。また、留学Personになります(笑)

 

 

–また、ガーナに!Shokolaさん、本当にガーナが好きなんですね。

スイス国営テレビ局が、ガーナのミュージシャンFokn Boisの問題作「Help America」について、首都アクラでドキュメンタリーを撮影しにきたときの様子。
再度ガーナに行った際に、首都アクラでドキュメンタリー(『Help America』)を撮影しにきたときの様子。

 

 

はい!あの後、何回かガーナにも行ったりしましたし、本当にハマりました(笑)

協力隊時代のブログが好評だったのがきっかけで、ファッション雑誌のオンラインブロガーとして、アフリカのファッション、音楽などのサブカルチャー、私自身の多様な生き方や価値観を伝えてたりもしていたりもいるくらいです。

 

後、帰国後に、日本で同期隊員で元ガーナ隊員の森田麻由さんと「Aha3de(アハエデ)」というカルチャーグループを起ち上げました。

 

–すごい多方面で活動されてますね!アハエデはどのような活動をしている団体なのですか?

アハエデ公式サイトより

アハエデ公式サイトより

 

「Aha3de(アハエデ)」は、ガーナの言葉で「ここはなんて素敵なところでしょう!」という意味で、ガーナの伝統舞踊や音楽を演奏したり、映像や演劇を取り入れて、異文化理解を伝えるパフォーマンスを行っている団体です。

これからはガーナの孤児を支援していきたいと考えています!

 

 

–そういえば、出発前は丸の内OLだったんですよね。そのが「本当に!?」と思えちゃうくらいすごくクリエイティブな方向に舵を切りましたね。

ガーナに行っていた仲間とのグループ写真展のポスター。

ガーナに行っていた仲間とのグループ写真展のポスター。帰国後もガーナに訪れ農村風景とアートシーンを撮り続けているそうです。

 

 

はい、前回お話した通り、ガーナに行く前は、開発学の修士を取ろうと思ったのですが、私は座学で勉強をするよりも現場が好きで、「ガーナで感じたものを表現する活動、クリエイティブな事をしていきたい!」と思うようになったんですね。

 

元々、子どもの頃から絵を描いたり音楽が好きだったんですけど、ガーナでの生活の最後にクリエイティブな活動をしているガーナ人といっぱい会って、「私もこう生きたい!」「彼らの表現を広げる活動もしていきたい!」って思って、帰国後はそういう活動をするようになりました。

 

–自分の原点に戻った的な?

JICAの国際協力出前講座

 

はい、まさに。そういう意味では原点に帰った感じがします。

「世間的にこうしなきゃいけない」 というフィルターを外せて、また「自分はこうしたい!」という気持ちが強くなってぶれなくなりました。「自分のコアな部分に何が残るのか」を元に活動できるようになったので、今は、すごく情熱的に活動できています。

 

 –振り返ってみると、ガーナに行ってよかったと思いますか?

 

はい、本当によかったと思います!

自分のコアな部分で活動できるようになった。」という意味でもすごくよかったのですが、ガーナでの農村体験「人が暮らす上で何が大事なのか?」を強く感じる事ができたものもすごくよかったです。

また、この事は、帰国後に気仙沼にボランティアに行った時にも現地の人たちに触れてさらに強く感じるようになりました。

今まで自分が生きていた世界では感じられなかった事を感じる事ができた事で私自身すごく変わる事ができたと感じます!

 

 –ガーナでの生活でShokolaさん自身が得たものが形になって今につながっているのが素敵ですね!

 

はい、本当にガーナでは多くのものを得る事ができました。

この経験を活かし、これからも色んな方法でアフリカや多様な生のあり方を「伝えたり、表現すること」をライフワークにしていきたいです。そしてアフリカにルーツを持つ子どもが、どこでも輝いて人生を送れるような世界をつくる一助となりたいです。

活動の様子は、Twitterinstagramで報告してますので、よかったらフォローしてくださるとうれしいです♪

 

 –踏み出した一歩から人生って大きく変化するのだと強く感じるお話ありがとうございました!これからもさらなる更なる活躍期待しています!

 

 
 
榎本 晋作
28歳の時にワーキングホリデーでイギリスに。ロンドンでは留学エージェントの立ち上げを経験。在英中に立ち上げた自身のブログは日本ブログ村PV(アクセス)ランキング1位。帰国後『イギリス・ワーホリ留学ガイドブック』を電子書籍にて出版し、Amazon海外留学対策ランキング1位を獲得。高3時点での英語の偏差値は32。(今でも苦手です。)