「フランスの文化へ溶け込むための努力」が私を変えてくれました。(西海由希さん)

留学中の食事

「帰国後の今でも1番恋しいのはフランスのパン屋さん!」というほど、 近所のパン屋さん巡りが大好きで、毎日の朝食は大きな楽しみのひとつだったそうです。

 

■言葉だけでなく、国の中に溶け込む留学生活とは?

 

–フランスでの学校生活はどうでしたか?

フランスの大学でしたが、初めは日本人だけの授業もあり、「このままじゃ日本と変わらないじゃん!」と正直焦りました。だから自分で、友人をつくるために同大学内のフランス人向けの授業に潜りこんだりしていました。

この時はまだやりたいことが見つかっていなかったので、「日本に帰る時までに、留学後にやりたいことをちゃんと見つけられるようにフランスにいることを活かしたい。」と思っていました。そのためにもまずは勉強、情報収集、そして人間関係を広げていくことに重点を置きました。

 

–すごい行動力ですね!やはり、日本の学生とフランスの学生は性格や生活スタイルは違いましたか?

そうですね。日本人よりブレてないで、周りに流されずに「自分」を強く持っている学生が多いなと感じました。「さすが個人主義の国だなぁ」と思うことが多かったです。

 

 

花の写真

アパートの自室。留学中に描いた絵や、覚え途中の単語や例文を貼ってました。手前の花はよく行っていた近所の花屋さんで。

 

フランス人は自分の時間や世界を大切にしていて、周りの目を気にしないところもあり、自由でした。

自分の時間を持つことの方が大事だから、多くの日本人のように集団で行動したり、「周りがしているからこう」のような考え方ではなく、自分の見方・考え方をはっきりと主張したり、自分の好きなこと・やりたいことを追求している人が多いと感じました。

 

–日本とは違った環境ですね。由希さんはどんな影響を受けましたか?

そうですね。自然とフランス人の姿勢に影響を受けました。

例えば、あるテーマについて誰かと話す時に、たとえ自分とは反対の意見だとしても相手の考えに必ず耳を傾けて、かつ「でも自分はこう思う!」としっかり伝える姿勢が身についたと思います。また「自分の時間」として、自由時間に本を読んだり、絵を描いたりするのが好きでした。

 

リヨンの街

「落ち込んだときとかは1時間半と時間を決めて描いていました。」と見せていただいた絵はどれも素晴らしいものばかりでした!

 

–絵を描かれるんですか?

 

はい、最初は写真を撮っていたのですが、だんだん小さい頃に習っていた絵を再び描きたくなって。リヨンの街にいると、景色や町並みの美しさに感動する瞬間が東京にいるときより多かったんです。

今思うと、自分の世界を大切にする文化があったからこそ、私も自分の好きなことを自信を持って実践できるようになったんだと思います。

 

–フランスの文化が由希さんを成長させてくれたんですね!

「フランスの文化へ溶け込むための努力」が私を変えてくれたんだと思います。そして、そのことが「フランスの文化を伝えながらフランス語を教えられる教育者になる」という今の私の夢につながりました。

 

–文化を伝えながらフランス語を教えられる教育者とは?

フランス人の友人と

帰国後、フランス語教師養成研修で指導を受けた先生と。

言葉というものは文化の中の一部だと思うんです。単語や文法を学ぶだけでなくフランス人にしかない物事の見方や価値観、表現の仕方などを学び、自分の文化と比較してそれぞれの特徴を客観的に見つめることこそが、フランス語学習の目的であり異文化理解への一歩だと思うんです。

そういうことをフランスにいて、フランス語を学んでいるうちに気づきました。 

 

■フランス独自の視点や文化を言語と共に伝えたい。

フランス留学中の由希さん

 

–改めて帰国後、自分の中で変化は感じましたか?

はい。良い影響がたくさんありました!私が感じているだけでなく、指導教授や両親、友達にも「留学に行く前と行った後では全然違う」と言われるんです。

やっぱり行く前は自分に自信がなくて。でも今は、留学中や行く前の不安や焦りを乗り越えてきた経験があるからこそ、自分に自信がつきました!

この経験があるからこそ、新しいことをする時でも「きっと大丈夫!」と思える土台ができたんだと思います。

 

–お話しされている雰囲気からも伝わってきます。最後に、由希さんのこれからのことを教えてください。

フランスの観光地にて

南仏エクス・アン・プロヴァンスにて。

 

フランスの人びとが持つ「独自の視点」や「生活スタイル」を言語と共に伝えたいと思っています。

今まで私は「フランス語の勉強は自分が話せるようになればいいや」と思っていました。でも、「ここまで来れたのは、周りのおかげなんだ。」ということ実感していくうちに考えが変わりました。

 

–「周りのおかげ」というと?

 

というのは、大学に通うことや留学できたことは、「家族の理解があったから実現できたんだ。」ということ。間違いを指摘してくれる先生がいたからきちんとした発音を身につけられたり、応援してくれる仲間や友人がいたからモチベーションを上げて勉強してこれたんだということなどです。

 

そうやって助けられたからこそ、私はこのような貴重な経験が出来たんだと思います。なので、私もこの留学で学んだフランス語やフランス文化を自分の中だけで完結させるのではなくて、教育者として新たにフランス語を学ぶ人にもシェアすることで恩返しをしたいと思っています。

この夢に向けて、まずは卒業後フランスの大学院へ進学し「外国語としてのフランス語教授法(FLE)」を専門的に学びたいと思っています。

 

–夢を実現させるために、卒業後はフランスの大学院で勉強を続けるという由希さん。これからもどんどん活躍していってほしいと思います。ありがとうございました。

 

 
 
目黒みのり
チャリティーマラソン大会のインターンシップ、途上国でのボランティアプログラム、オーストラリア(メルボルン)語学留学を経験。留学Personでのインターンシップを経て、ライターデビュー。趣味はミュージカル!