地方の女子大生が大都市ロンドンに留学!そのギャップの中で得たものとは?(野路彩也香さん)
|ホームステイ先にてホストファミリーと。
■「ICカードって何!?」さやかさんを待ち受けていた2つのギャップ!
―留学してから、環境にはすぐになじめましたか?
いえ、日本との生活にギャップがありすぎて、最初の頃はとても疲れていました。
なんだか、「自分はここにいるべきではないかも。。」とまで思ってしまうくらいに。。
―やはり、福井とは違う?
ロンドンの地下鉄の駅。
はい、福井とは全然ちがいました。
ロンドンはすごい都会で人や建物が多くて。。その環境にいるだけでも気苦労してしまいました。
例えば、福井では一番大きな駅でも、改札が3個しかなくて、人も少ないんです。けれど、ロンドンは都心の方に行くと、駅は広くて、改札も多く人であふれてますし。。
―やはり、ロンドンだと都会なので、駅にも人が多いのですね。
初めてのICカードタッチに感動!
はい。あと、福井では、東京のsuicaや大阪のICOCAのような、改札をタッチして通れるICカードがないんですよ。
でも、ロンドンでは”オイスターカード”というICカードがあるので、最初は、「これがICカードかぁ。」という感じでした。
「噂のICカードで、電車に乗るよ!」って、思わずツイッターに投稿しちゃったくらいです(笑)。
―ICカードも初めてだったんですね!生活自体が新しい発見ばかりだったのですね。
そうなんです。初めての事が多かったので。
街ゆく人もみんな忙しそうに歩いていて、何もかもがギャップで疲労困憊(ひろうこんぱい)でした。
―英語力についてはいかがでしたか?やはり、一度留学されているから、問題はなかった?
ロンドンの地下鉄「ロンドンチューブ」。ロンドンでは「サブウェイ」ではなく地下鉄の事を「チューブ」と言うそうです。
はい、アメリカに二ヶ月いた事もあるので、全くできないというレベルではありませんでした。
でも、やはり、英語の苦労はかなりありました。
―どのような苦労だったのですか?
ロンドンはすごく移民が多い街だったんです。なので、発音とか単語とか、自分の慣れていた英語とも結構違ったんです。
海外は初めてではないですし、「簡単な英語ならわかるだろう。」と思って行ったのですが、実際行ってみると全然聞き取る事ができなくて「私って、全然英語できないんだ。。」って感じでかなり落ち込んでしまって。。
―街が大きいだけではなく、人種の数も多かったのですね。
はい。あと、気持ちが疲れていた時期でもあったので、自信がなくなる事も多くて。。
定期的に「自信なくなる波」のようなものが来ていたのですが、その波が来た時は、自分の事をしゃべろうとしても、あきらめてしまってました。
―”慣れない海外生活(英語環境)”の上に、”初めての都会暮らし”という2つのギャップがあったのですね(汗)。
ロンドンのショッピングストリート「トッテナムコートロード」。
はい、街も大きくて、何があるか全然把握できない状態でしたし。。
「こんな都会で、私、本当にやっていけるのだろうか。いや、無理でしょ。。。」とか、本気で思ってました。。
―そんな状態で大丈夫だったのですか?
はい、英語疲れと都会疲れが同時に来ていた感じです。
やはり、このような状況でしたので、「ロンドン怖いし、もう自信ない。。」とか思って結構くじけそうにはなったりはしました。。
―そこから立て直す事はできたのですか?
はい、やっぱり「でも、これじゃダメだ!なんとかしなきゃ!」「せっかく休学してまで来たのに!」という思いはあったので、イベントに出たりとかして、極力引きこもらないように気持ちを入れ替えました。
■”日本”をテーマにしたイベント、そして、動画SNSを活用し困難を克服!
仲良くなった友人とチョコレートフォンデュを食べに。
―心機一転、外に出ようと!ちなみに、イベントはどのようなものに参加されていたのですか?
色々あったのですが、最初の頃は“ミートアップ”や”ロンドン大学で行なわれている日本関係のイベント”などに参加してました。
―ミートアップとは?
ミートアップって、ようするに、「色んな人が集まるイベント」の事をそう呼んでれているんです。
例えば、「旅行好きが集まる会」や、「英語を学びたい人が集まる会」など様々なものがありました。
私が最初の頃に参加したのは、「英語を学びたい人」と「日本語を学びたい人」がカフェに集まってお話する「ランゲージエクスチェンジ」のようなイベントでした。
―なるほど。オフ会のようなものですね!参加者はどのような方が?
参加者は日本人も外国人もいました。
ただ、”日本”をテーマにしていたものでしたので、外国人も「日本や、日本語に興味がある人」がメインで、英語が苦手な人でもハードルは低かったように感じます。
―なるほど、日本をテーマにしたイベントだと、若干ハードルが下がるんですね!
そうなんですよ!また、そこでは、日本人の友達も出来たので、心細かった気持ちも和らぎ、それからは街に出ることもできるようになっていきました。
友達ができてからは一緒にでかける事が多くなりイベントに参加しなくなっていったのですが、最初にこのような感じで”外に出るきっかけ”ができたので、徐々にロンドンにも慣れていくこともできました。
―日本人が主催しているというのは、安心ポイントかもしれませんね。その他に何か工夫はされた事はありましたか?
工夫というか、ツイキャスというSNSを趣味でやっていたのですが、それが留学中は、結果的に役立ちました。
―ツイキャスとは?
簡単に言うと、スマホで撮った動画をサイト内で配信できるSNSで、私の場合、特に「コレ!」という中身があるものではないんですけど、イギリスのお菓子の事などを、定期的に配信していました。
―今ドキっぽいですね。これがどのように役立ったのですか?
ツイキャスを通して、色んな人に出会えたりしたんですよ。私と同じように、イギリスの別の所に語学留学してる人やロンドン在住の人に。
そのような出会いのおかげで、色々と情報交換もできました。
こうすると、だんだんと留学生活に慣れる事ができてきて、3,4ヶ月くらいした経った時には、だいぶ「イギリスって楽しいなぁ。」と思えるようになっていけるようになれました。
■「私の当たり前は当たり前ではないんだなぁ。」。友達を通して自分を客観的に知る。
学校の友人たちとクリスマスマーケケットに行った時。
―イギリスというと、他のヨーロッパが近いように思うのですが、旅行には行かれましたか?
はい、イギリスは他のヨーロッパの国も近いので、自分でチケット取ってすぐに行けるんですよ。
私の場合は、私は語学学校で用意されている学生対象のツアー旅行があって、それによく参加していたのですが、安い航空券やバスを取って行く人も多かったです。
―どのような国に行かれましたか?
イタリア旅行中。サンペレグリーノにて。
行った国は、ベルギーやオランダ、あとは、ルクセンブルグ、スイス。その他にも、イタリアやチェコやフランスにも行きました。
―すごいたくさんの国に行かれてますね〜。
はい、学校に用意されているツアー旅行はパンフレットみたいになっていて、興味を持った所に行けるんです。
それを使って、私は仲良くなったブラジル人の女の子とよく興味ある国を選んで一緒に参加してました。
―何か国も一緒に行くくらい仲いい友達ができたんですね!
テムズ河にそびえ立つタワーブリッジ。
はい、その子はすごくフレンドリーに接してくれて、とても仲良くなる事ができたんです。
―最初に大変だった頃と比べると、だいぶ状況が変わってきますね!ちなみに、旅行中のトラブルが心配なのですが、それは大丈夫でしたか?
“トラブルらしいトラブル”はそこまでなかったのですが、旅行中に印象的だった事として、一緒に行動をしていた友達との「文化の違い」に驚く事は結構ありました。「えっ、なんで!」みたいな。
―それはどのような?
例えば、スイスに行く前に、「アルプスは山だから寒いので、防寒着はしっかり持っていこうね。」と話してたんです。
ただ、それで、実際に友達が持ってきた服を見ると、全部コートだったんですよ(汗)。
「いや、それ、種類が多いだけじゃん!着回しできるけど、防寒対策にはなってないよ!」という感じで。。
―確かに、日本だとヒートテックみたいな重ね着で防寒対策をしますよね。
一緒に旅行に行った友人たち。
はい。どうやらブラジルでは寒い時期がないらしく、「重ね着の仕方」がわからなかったみたいなんです。
なので、私が、薄い長そでやカットソーを渡して着方をレクチャーしたんですけど、そうすると、「なるほどね!」ってひらめいたように目をキラキラさせてくれたんです。
今から考えると「まぁ、気候が違うから当たり前か」とも思えるのですが、当時はこういう些細な事でもすごく新鮮に感じる事ができました。
―確かに、言われてみると当たり前かもしれないのですが、実際に体験すると驚く事ってありますよね。他にも印象的なエピソードはありましたか?
歴史的な建造物が有名なチェコの観光地「チェスキー・クルムロフ」。
これもコートの話につながるんですけど、別の出来事で、「私の当たり前は、当たり前ではないんだなぁ。」と感じる事がありました。
ツアー中にバスのトラブルがあって、電車で帰る事になった事があったのですが、その時に添乗員さんから「電車代はあとでお返しします!」って言われて。
―えっ、後払いだったんですか!?
はい。。。
それを言われたとき、私は「添乗員さんが言うなら返金されるだろう」と当たり前のように思ってたんですけど、友達たちは、みんな
「どうなってるのよ!?」
「本当に、ちゃんと返してくれるんでしょうね!?」
という風に添乗員さんを問いつめていたんです。
―みんな心配だったんですかね?
はい、心配だったというか、他の国では「騙されるかもしれない。」って最初に考えるようなんです。
私なんかは「添乗員さんが攻められてて、かわいそう。。」とか思ってしまったんですけど、「日本とは違って、海外ではこういう時は、ちゃんと、釘をささなければいけないのか。」と感じる出来事でした。
―ロンドンだけでなく、様々な所で日本との違いを感じる事が多かったのですね。
一緒にホームステイをしたいたスペイン人の友人と。
はい、様々な背景で育った人がいて、「その人たちが”当たり前”にふるまうことは、私にとって異質なこともあるんだ。」とすごく感じました。
「”普通だ”と思っている私の考えが、実は普通じゃないことってきっとたくさんあるんだ」って。
例えば、人の行動だけではなく、法律でも、日本では違法な事が、別の国では合法だったりとかもありますし。
本当に色々な価値観や文化があって、「常識というものの弱さ(薄弱さ)」を思い知らされたように感じます。
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