27歳女子。「大人のワーホリ」を求めて、イギリスのブリストルへ。(香西裕美さん)
|学校の友達たちとサウジアラビアスタイルのティータイムを楽しんでいる時の様子。
■ブリストルでホームステイをするとイギリス人夫婦に当りやすい?
–実際に住んでみて、ブリストルはどのような街でしたか?
まず、私が強く感じたのは、「ロンドンと比べてイギリス人が多い街」と言う事でした。
ブリストルはロンドンほど国籍が混じってはいなくて、感覚としては「イギリス人の中に外国人が混じっている街」という印象でした。もちろん、他にも色々な魅力はありますし、感じ方は人それぞれなので、一言で言うのは難しいのですが。
–ロンドンはそんなに人種が多いのですね。
ロンドン西部のハマースミス駅付近の様子。
はい、ロンドンは、街を歩いていると、移民の人やイギリス国籍以外の人が多かったです。本当に、イギリス人を見つけるのが難しいくらいすごくインターナショナルな街で、最初はすごく驚きました。
スーパーやカフェの店員も、ロンドンだと外国人が多いのですが、ブリストルだとほぼイギリス人でした。
–「イギリス人ばかり!」というイメージでしょうか?
ブリストルのカフェの様子。
いえ、日本とは違い「電車に乗ったらみんな日本人」というような環境ではなかったです。街を歩いても「外国人や移民系の人は必ず見かける」というくらいでした。ですので、一応、インターナショナルな環境ではありました。
あと、これからイギリスに行きたい人向けの話をすると、ホームステイ先としては結構おすすめです。
–というと?
イギリス人のホストファミリーと、ハウスメイトとして一緒にホームステイをしていた韓国人の友人。
ロンドンでホームステイすると、よく「イギリス人の家庭じゃなかった。」と聞くんですね。でも、ブリストルだとかなり高い確率でイギリス人夫婦に当るみたいで、私の周りではイギリス人の家庭以外は聞きませんでした。
–それいいですね!ちなみに、ブリストルってどこにあるのですか?
ブリストルは、イギリスの西側にある街です。
ロンドンからだと、電車で2時間、バスで3時間くらいで着く距離なので、日帰りでも行けますよ。
–あっ、ならロンドンにも行きやすくてよさそうですね。治安はいかがでしたか?
ブリストルの街並。
私の印象なので、絶対ではありませんが、治安はよかったと思います。夜間でも1人で歩けましたし。最近では、ブリストルは住みたい街上位にも入っているみたいで、人気が上がっているらしいです。
もちろん、悪い所は悪いですけど、それはイギリスであればどこに行っても同じだと思いますし。
■「My love」〜人が優しいブリストル〜
ハーバーフェスティバルの写真。色んな屋台が出ていて、ポーランドとドイツのホットドックの食べ比べをされたそうです。
–裕美さんが、ブリストルのどのような所がどういう所ですか?
これも感じ方は人それぞれだと思うのですが、私は「人が優しい所」がすごく好きでした。地方だからかは、わからないのですが、みんなすごく優しいんですよ。
–どんなところでそう感じましたか?
例えば、ロンドンのカフェやレストランだと、接客の時はすごく雑に扱われる事が多いんですね。でも、ブリストルだとすごい笑顔で対応してくれるんですよ。日本ほど過剰な営業スマイルではないですけど、本当に優しくて、柔らかい感じでした。
–へぇ、なんか海外で優しくしてもらえるのって安心できそうでいいですね!
語学学校の先生と友達でディナーに行った時の写真。
はい、なんかすごい距離感が近い感じがしました。どうやら、ブリストルの方言みたいなのですが、会話の最後に相手の事を呼ぶ時に「my love」とかつけっちゃったりしますし。
–でも、知らない人に「my love」とか言われるとちょっと怖い気もするのですが(汗)
いや、言葉で聞いているとそうかもしれないのですが、実際に、おじいちゃんとかに言われるとほっこりしたりしましたよ(笑)
後、景色もすごく綺麗で私は好きでした。街の中心部に運河があるんですけど、そこで、お祭りとかもあって、それも結構楽しいですし。
–なんか、そういう地元のイベントは楽しそうですね!
ブリストルの公園。晴れた日はここでひなたぼっこをしたり、みんなでワインを飲んだりしたそうです。
はい、バルーンフェスや、音楽フェスなどのイベントは、にぎやかですし。後、丘にウォータースライダーが設置されるイベントもあったりします。新年、街中でやってた花火も、丘の上から見てすごく奇麗でした!
–田舎だと思ってたんですけど、結構にぎやかな街なのですか?
確かに、音楽フェスは夏だと毎週やってますし、イベントは結構多いです。ですけど、基本的に時間の流れもゆっくりな街でしたよ。私が田舎出身だからなのかもしれないのですが、こういう環境がすごく好きでした。
ただ、田舎と言うと、不便なイメージがありますので、正確には「地方都市」と言った方がいいかもしれません。お店とかも一通りありますし、テレビの全国放送でも天気予報で名前が表示されるくらいですし。
もちろん、シティーバンクの支店がなくて、日本でせっかく口座を作ったのに、お金を下ろせないみたいな、留学生特有の不便さはありましたけど(笑)
■ブリストルでの仕事の探し方
裕美さんが住んでいた街。たまにお惣菜を買って帰っていたそうです。
–本当に好きなんですね〜。ちなみにワーホリだと仕事の事が気になるのですが、ブリストルには仕事はありましたか?
基本的に、私はIT系のフリーランスでしたので、仕事の事になるとそこまで詳しくないのですが、全くないという事はないと思います。
日本食レストランが何軒かあったり、日本旅行をイギリス人向けにやってる会社があったりしますし。
–例えば、ブリストルで仕事を探そうと思ったら、どうすればいいのですか?
ブリストルのバルーンフェスティバル。
日系ではないのですが、派遣会社もちゃんとあるので、まずは、英語力を上げてからそこに登録する事だと思います。私のスペイン人の友達はその方法で仕事を見つけていましたよ。
ただ、やはり仕事という事になると、ロンドンの方が多いので、「本気で働きたい」となると、そっちの方がいいかもしれません。
–なるほど、では、ワーホリで行くなら、最初の語学学校をブリストルで、その後にロンドンに仕事しに行くとかありかもですね。
ブリストルの観光名所「サスペンションブリッジ」。
確かに!それは、すごくいいと思います!私の通っていた語学学校はすごくよかったですし。
–語学学校はどのような所に?
私は「ELCブリストル」という学校に通っていたのですが、友達がいっぱいできて、すごく楽しかったです。
–友達はクラスメイト?
クラスメイトもいましたし、他のクラスの子もいました。
学校の用意しているアクティビティで、「ウェルカムパーティー」や「カンバセーションクラブ」という放課後にパブで先生と何人かの生徒で英語を習える時間などがありました。そういうのに、積極的に参加しているうちに、違うクラスの友達も増えていきました。
–なるほど!その友達は外国人でしたか?
アクティビティのカンバセーションクラスのメンバーで。パブ代金だけで英語が学べるお得な時間だったそうです。
はい。同じ日に学校に入ったドイツ人の子とめちゃ仲良くなれましたし、学校のスイス人が多くて、他にもヨーロッパ人が多かったです。
たまに日本人もいたりするのですが、ヨーロッパ人が多い環境だと、日本人同士でも自然と英語になっちゃいました(笑)
–日本人同士だと、日本語になってしまいそうなのに、英語だったのですね。
はい、自然と。それに慣れてしまうと、日本語で会話した瞬間になぜか違和感が出てしまうくらいで、「お願い、敬語辞めて!」って感じで結局英語に戻ってしまったりもしました(笑)
–なるほど(笑)ちなみに、学校はロンドンよりブリストルの方が、日本人が少なかったりするのですか?
学校のアクティビティで行ったバース旅行。
多少はあるかもしれないんのですが、私の場合、レビューを見ている時に「日本人が少ない」というのも重視して選んだ事の方が大きかったかもしれません。
後、ちょっと高い学校を選んだので、やはり日本人でも学ぶ意欲が高かった生徒が多かった気がします。
–学校の費用は高かったのですか?
語学学校3ヶ月と、ホームステイも入れて80万円くらいかかりました。結構前の事ですので、全て覚えているわけではないのですが、他の所と比べても安くはなかったと思います。
■ブリストルの英語になまりはあるの?
学校のクラスメイトたち。
–かなり充実されてたように思うのですが、英語での苦労はありませんでしたか?
いや、本当に最初入ったときは、全然しゃべれなくって大変でした(汗)
ヨーロッパ人はできなくてもめちゃくちゃしゃべってくるので、自分とのギャップに圧倒されてしまいまして。。最初は、めちゃくちゃそれで萎縮しちゃって。。
–相手の英語力も完璧じゃないのに、さらにハードル高そうな環境ですね(汗)
はい。後、色んな国から生徒が来ているので、訛(なま)りがひどくて。。スイスやドイツの訛りは軽いんですけど、イタリアとか、スペインとかアラブ系のなまりは結構きつかったです。
–そっか、語学学校は世界中から生徒来ますもんね。
毎週面接してくれた先生。すごい親身に相談に乗ってくれた「あなたはシャイだから」と「カンバセーションクラブ」を紹介してれたそうです。
はい、それもありますし、街でも苦労しました。
そもそも英語に慣れていないので、スーパーに行った時に店員さんが「バックにいれますか?」と言ってたと思うのですが、「ばーばーばー」という音しか聞き取れなくて。
–そういえば、ブリストルは訛りはないのですか?
多少はありましたが、そんなに極端なものはありませんでした。ちょっとだけ違うくらいで北の地方より全然マシだと思います。農家の英語というか。ロードオブザリングを知っている人だとサムの英語をイメージをするとわかりやすいかもしれません。
–ロンドンとどちらが英語は聞き取りやすかったですか?
ストリートアートが有名なブリストル。有名なアーティストも輩出されているそうです。
そこまで気になるほどの違いはなかったと思います。ただ、ロンドンは多国籍な街なので、色んな英語が飛び交っているんですよ。ですので、語学学校で外国人の英語をよく聞いていたのが、そこで役立ちました(笑)
■ロンドンからブリストルに戻った理由は?
ロンドンの騎兵隊
–語学学校が終わった後にロンドンに住んでたのですよね。その後、ブリストルに戻られたのは何か理由があったのですか?
理由は色々とあるのですが、簡単に言うと、「生活費が高かった」というのが主なものです。
–やはり、ロンドンはブリストルより高かったですか?
はい、物価も結構違ったのですが、ロンドンは家賃や交通費が高いんですよ。。
–どれくらいするのですか?
ロンドンで人気のパブ「チャーチルアームズ」。お店の中では、なんとタイ料理が食べれるそうです!
例えば、ロンドンだと、シェアフラット*のシングルルーム(1人部屋)で家賃が600ポンド(約10万8千円)くらいしたのですが、これがブリストルだと、350〜400ポンド(約6万3千〜7万2千円)くらいで住めるんですよ。これは日本の東京と地方の違いと似ている気がしました。
※シェアフラット:シェアハウスに近い家の形態。一般的な形だと、1人部屋が与えられ、キッチン、バス、トイレが共用。
–やはり都会が高いのはどこも同じなのですね(汗)。そもそもなぜ、ロンドンに行かれたのですか?
学校が終わった後に、「三か月くらいはロンドンに住んでみて、自分に合うかどうかを見極めてみよう。」と思って引っ越したんですよ。仕事もロンドンの方が多いですし。ですので、ずっといるかどうかは、最初は決めていませんでした。
–ロンドンでは就活を?
ロンドンの中心にある公園「ハイドパーク」。
はい、就活をして、少しの期間ですが、日系企業でのIT担当やフリーランスとして働きました。
幸いな事にイギリスでも、フリーランスとしての仕事も少しずついただけるようになっていたので、「なら、生活費が安いブリストルに戻ろう。」という結論になりました。
–なるほど、やはり場所を選ばないスキルがある人は安い所に住んだ方がよいかもですね。
はい、それは本当にありだと思います。私も、そういう働き方をしたいと思って今の仕事を決めましたし。
ただ、せっかくのワーホリなので、現地企業で働くのは大事な経験だと思います。ロンドンで働ければ、お給料もよくて、貯金もできてる人が多かったですし。
私の場合は付き合っていた彼がブリストルにいたので、生活費はロンドンとは大きく違った特殊な事情もあったので、ブリストルに戻りやすかったのもありますし。
■「相手の家にいっても付き合っていない!?」驚きのイギリス恋愛事情!
ハーバーフェスティバルで、BBCがゲームを使って、子どもたちにコンピュータ言語を教えていた時の様子。
–おぉ、彼氏がブリストルに?まさか国際恋愛ですか?
はい、一応イギリス人の彼です。とは言っても日本が大好きなので、日本語ペラペラなのですが(笑)
–おぉ、なんか素敵ですね!少し気になるのですが、海外では、日本のように付き合う前に男性が女性に告白はするのですか?
いや、それがないんですよ。私の場合は、彼が日本文化に理解あるのか、「私たち、付き合いましょうか?」というプロセスがあったのですが、普通はそうではないらしいです。
–えっ、ではどうしたら付き合った事に?
友達から聞いた話なので定かではないのですが、両親や友人などの第三者に会わせて「彼女だよ」って言って初めて彼女になるという噂は聞きました。一緒にデートに行ったり、家に行ったりしても付き合ってるわけではないらしいです。
「どこからが、ちゃんと彼女になった事になるのかわからない。。」と、私の友達も困ってました。
–日本人としてはワンクッション欲しい所ですよね(汗)
はい。ただ、困っていたのは私だけではなくて、スペイン人や韓国人もでしたので、各国、色んな恋愛文化があるんだと思います。
そして、一口にイギリスと言っても移民も多いですし、色んな人種がいますし。本当に恋愛事情も様々なのだと思います。
–なるほど。ちなみに、彼氏ができたら英語力は上がると聞くのですがいかがでしたか?
裕美さんお気に入りのローマのカフェ。
いや、実は彼氏が日本語がペラペラでしたので、会話は日本語でした。ですので、イギリスにいながら「海外ドラマをずっとつけっぱなしにする」のような努力をして、意識して英語力を上げるような生活でした(汗)
ただ、スペイン人の友達は、イギリス人の彼氏を作って英語力がすごく伸びてましたよ。私も、わからない英語があればすぐに聞けますし、彼の友達はネイティブなので、ネイティブと会話できたりといい事もたくさんありました。
–なるほど。それでもイギリスに住んで英語力は上がりました?
2年も住んでいましたので、それなりには。2回目のブリストル滞在時に、ケンブリッジ英検を受けたのですが、FCEにも合格できましたし。
※ケンブリッジ英検:世界中で使われている英語力証明テスト。FCEという5段階中真ん中のランクに合格すると世界で英語でビジネスができる証明になる。(一般的にTOEIC換算で800点以上と言われている。)
–それすごいですね!学校には通いましたか?
ケンブリッジ英検の受験直後にカレッジのクラスメイトとパブで
はい、少しですけど。ブリストルにカレッジと呼ばれる学校に対策コースがあったので、週に3時間ほどのコースに通ってケンブリッジ英検の対策をしました。
後、海外ドラマを付けっぱなしにしていたおかげか、リスニングは満点でした(笑)
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